本当に好きなものを語るときは、本当に滔々と言葉が飛び出してくる。
その逆で、本当に関心がないときは本当に紋切り型の台詞しか出てこない。
その一歩先の段階があると私は思っている。
<何を好きになっていいか分からない>
春まだ浅い時期の新芽のように、
ちょっとだけベクトルが顔を出している状態だ。
そのベクトルはいま、グミに向かっている。
私はグミに特別な想いを抱いていない。
けれども、今この瞬間グミを横目に文字を起こしている。
これは人がモノを好きになっていく、まさしくその歩を進める過程を
克明に描くノンフィクション作品(の予定)だ。
どんな拍子で想いが極まるか、それは人それぞれである。
「世界が終わりそうなその時に、頭にグミが浮かんできたから好きになった」
「グミと一緒に寝たら翌朝も同じところにいてくれたから好きになった」
「おっぱいかと思ったらグミだったから好きだと気付いた」
どんな結末が待っているかは分からない。
でも、手練手管を弄して、グミと私の距離を縮めたいと思っている。
春は、まだ浅い。