「殿!こんなところにグミが!」
「グミとはなんだね。一献傾けるには早いぞ。それに腹が減ったと言っておるだろ」
「酒を汲む話はしておりません!グミですよ。果汁などをゼラチンで固めた菓子の一種である。名称はドイツ語でゴムを意味するGummiに由来する。ドイツと北米では熊をかたどったグ」
「ええい、何の話をしておる!もういいから一つ寄越せ!」
遠出をしてきた殿だったがお供がうっかり弁当を忘れたため、空腹も相まって相当に腹を立てているようだ。
しかし、道中で見つけたピュレグミをお供が渡すと、殿は大いに気に入ってしまった。
「旨いじゃないか。味は献上物によく似たものがあったな。食感は、不思議だ。初めてだ」
「形もよく見てくださいよ。ラブずっきゅん」
「無礼か?まあいいが、何かの花びらのようだな」
「さて、旨いもんも食えたし帰りますか」
「そうだな、お前弁当忘れたこと棚に上げるつもりだな」
空腹も満たされ無事に帰ったが、殿はあのグミが忘れられないでいた。
「何故あのグミとやらが作れないのか!」
下々の者たちは、寒天をこしらえ、殿の舌に合うように試行錯誤を繰り返した。
「ギャルがいないからですかねー?原宿だったでしょ、確か。雰囲気モノですよ、思い出なんて」
あの時グミを渡したお供が、グミを口にした原宿から若い女を連れてきて、殿に侍らせる。
「殿っちゃん、あーん」
「お、お、うまいけど味は変わらん」
「目がピュレグミみたいっすよ、殿」
「うるさい!やっぱりダメだ!グミは原宿に限る!」
ピュレグミを製造するカンロは、長野県に2つ、山口県に1つ工場を構えるのであった。