「和風」という言葉を聴くだけで、人は古き良き文化の息遣い、挙句の果てには雅楽なんかをBGMにして、勝手にイメージを補強してしまうからおかしい。
言葉というのは、そういった表層にある印象を狙い狙われ定着していくのだと思う。
かつてアメリカの地下で醸造されたジャズだが、時を経て日本人が解釈し、演奏したものを”和ジャズ”と称する場合がある。
どこか歌謡曲的だったり、楽器が日本古来のものだったり、あるいは日本の空気特有の憂いを帯びた旋律だったり。
”jazz”に”ニッポン”を落とし込んで再構築される”和ジャズ”は
狙いすまし狙いすまされ「和風」という言葉を欲しいままにしている。
つぶグミ『和ソーダミックス味』。
”和ソーダ”とは聴き慣れない単語だが、素敵な響きだ。
なんとなくグミは抹茶のうぐいす色だったりを想像する。尺八の音色が遠く聞こえてくる。
開けてみると確かに薄いうぐいす色のグミがあった。
だが抹茶ではなく和梨ソーダ味。ソーダなんだから抹茶なわけがない。
なるほど、ラインナップを見ると<ゆず><うめ><和梨>。
これはまた、『和』の上手なラインを押さえてきている。
ベタではないが、なんとなく水墨画で描かれるイメージをすると風情があるチョイス。
というかそもそもつぶグミは味に関わらず和菓子の趣がある。
薄い色味はそれを意識しているのだろう。インスタ映えも完璧だ。
ゆずのほのかな苦味。うめのかすかな酸味。そして和梨の淡い甘み。
確かにこれは大人の味だ。そしてかつ『和』の味だ。
これも全て春日井製菓のヒットマンが緻密に計算した『和』の賜物。
そもそも海外生まれのグミに”ニッポン”を落とし込むのだから、
その開発苦労は相当なものだろう。
グミの日に合わせた限定商品ということが残念ではあるが、
1年に1度のお祭り、買って見て味わって、存分に楽しめることは間違いない。